Super Moon

午後のティータイム、新聞を読んでいたナミが あら と驚くような声を出した。

給仕中のサンジは元より、甲板でばらけていた男たちが、わらわらとナミの元に集まる。

縁に凭れて昼寝していたゾロでさえ、うっすらと目を開けた。

「どうしたんだい、ナミさん。」

「今日、スーパームーンよ。月は地球の周りを楕円で回っているから、近いときと遠いときがあるの。

今日は、満月の状態で、今年一番近づく日。暗くなり始めたら、東の空に注目よ!」

 

一斉に、傾き始めた太陽の反対側を見る。

 

「おい、クソ毬藻!てめぇが見てんのは『北』だ。見ろ、ゴムでさえ東を向いてるってのに、恥を知りやがれ!」

「今見る必要は無かっただろうがよ!」

「じゃぁ、夜なら分かるってのか?けっ!」

「やんのか?こら!」

「やんなら、やんぞ?おら!」

 

「サンジくーん」

一色触発、そこまでいかないと止める気にならないナミは、多少のガス抜きは必要、とかそんなことを考えているわけではなく、面倒だけど、これ以上やらせたらもっと面倒、と仕方なく腰を上げている。

 

「は~い、ナミさん。お代わりかーい?」

「ううん。それより、今晩なのよ。わかってるでしょ?」

「ん。あぁ、もちろん!天気は問題なさそう?」

「えぇ、今日はばっちり。明け方まで雲一つない快晴よ!」

「よっしゃ。おい、クソマリモン、ケンカしてる暇は無くなった。テーブルを出せ。」

「あぁ?」

「ヤロウども!今日は月が出たら宴だ!準備にかかれ!」

「うほー!!!」

「てめ、ルフィ!だれがてめぇにキッチンの用事を言いつけたよ!」

 

駆け出したルフィがビッターンと倒れる。足首を掴む甲板から生えた手。

「船長さんのお相手は私に任せて。」

「ああ、ロビンちゃん。すごい!何よりの助けだよほぉ!」

 

 

朝から下拵えしていたご馳走の数々。今日は特別な日だから、いつもより肉5倍増し!昼間は暑いほどなのに、夜になったら急に冷える時期だから、温かいデザート。そして、もちろんスペシャルなケーキ。

ウソップとチョッパーの作った飾り付けは甲板中を彩り、夕焼けを反射している。

赤い空が徐々に紫へ、そして 一番星が輝く。

「今日の一番星は、金星か。そろそろ交代だよね、ナミさん。」

「そうね、今月の終わりには木星になるんじゃない?」

「へぇ~、一番星っていつでも金星なんじゃないのか?」

「おう、チョッパー!それはだなぁ!おれが8000人の手下を率いて冒険していたころ…」

「そんなんどうでもいいだろ!ハラへったぞ!」

「まだ月出てないのよ!もうちょっと待てないの!?」

「待てん!」

 

「ナミさん、ここまで主役が我慢したんだ。始めていいかな?」

「食ってるうちに月も出るだろ。」

「そうね。じゃ、いただきましょうか。」

 

「いよぉっし!てめぇら、グラスは持ったか?それでは、我らが船長~ルフィの誕生日を祝って乾杯だ!」

「ハッピーバースデー!ルフィ!!!」

 

東から明るい光が射した。

 

「うわ!でっけぇ!!!」

「あぁ。こりゃすげーや。」

「空島の月みてぇだ。」

 

太陽の光を反射して輝く月。

今宵は一際大きく、輝く。

海上の太陽の生誕を祝うがごとく。

その太陽には八つの月。日々 大きく、日々 輝く。

 

fin

おまけ


ルフィ誕生日おめでとう!一日遅れだけど。

そして、本日日本列島大荒れで、雹だ、雷だ、竜巻だ…と大変な5/6は、エネルの誕生日だったとか。