どうしてこんなことになったのか、頭の整理がつかない。
コックに女を抱いてこい、と金を渡された。
おれの気持ちを勝手に決めるな、という怒りはあるが、自分自身半信半疑なところが残っているから、それもいいか、という気持ちが頭をもたげる。
もやもやしたまま、島に着き、船番を押し付けられる前に、船を飛び出した。
昼間だったから、色街は分かりにくかった。
散々歩き回って、やっと到着した色街で、女を物色した。
どいつもこいつもピンとこない。
すり寄ってくるヤツらがうっとおしい。
腕に絡めてくる香水臭い手、長い爪が気持ち悪い。
顔を寄せて笑う赤い唇を見ていたら、吐きそうになった。
振り払ったら殺しちまいそうで、力を入れないようにすり抜ける。
少し開けた広場に出たときには、精神的にヘトヘトだった。
「オニイサン、こんな早い時間からやる気満々かと思ったら、かわい子ちゃんたちに見向きもしないなんて、何しに来たんだい?」
やり手ばばぁだろうか、初老の女に声をかけられた。
あんたの探してる相手はこっちだよ、と自信満々に言われ興味をひかれた。
かといって、こんな化け物の巣窟に来るつもりは毛頭なかったんだ。
「ちょっと、オニーサン。なにボケーっとしてんのよ、うふふ、アタシに見惚れちゃった?」
「まぁ!ロザリーったら、図々しいわね、アタシでしょ?」
「やっだぁ、ジャンヌったら!クマみたいな顔して!」
「で、オニーサン、どうしたの?アタシたち麗しすぎて選べないかしらん?」
「ナーニ?やりに来たんじゃないの?おしゃべり派?それもいいけど、このすっごーいので気持ちよくさせて欲しいなぁ~ン。」
いきなりチンコを握られてギョッとするが、それどころじゃない。聞き捨てならないことを聞いた。
「男同士で気持ち良くなれるのか?」
一斉に目がギラギラと目の色を変えたオカマたちに囲まれ、生まれて初めて捕食動物の気分ってものを垣間見た気がした。
「ちょっと、アタシ男じゃないわよーん。オ・カ・マ!」
「なれるわよ!やっだぁ、初めて?美味しそう~!」
ぎゃーぎゃーと騒ぐオカマの言ってることは半分も耳に入らない。
フラつくコックの姿が頭から離れない。
もうごまかせねー。おれが抱きたいのはあいつだ。
化け物に頭を下げて、アレをヨくできるなら聞いた方が得策だろう。
しかし、どうにも気色わりぃな。
あいつがここに来たら、発狂すんじゃねぇか?とふと考えて笑いがこみ上げた。
『ギャァア~~』
な、なんだ!?
『オニーサン 笑うとかンわいい~!』
ブワッと鳥肌が立った・・・
「じゃぁ、ノンケの初めて同士でいきなり合体!?」
「そりゃぁ、痛いわよ!」
「よく入ったわね~!泣いてたでしょ?」
「いや、よく覚えてない。」
「やっだぁ!興奮してたのねん。」
「前立腺わかった?最初はそこ位しかよくなれないんだから、しっかり擦ってあげんのよ。」
「ふふふ!だんだんね~奥もヨくなるのよね。」
「タチだって先っぽがイイんでしょ、神様はアタシタチゲイのこともちゃんと考えてた、ってことじゃな~い?」
「そうよね~」
情報収集と思って座っちゃいるが、八割方意味がわからない。
参った、ムダだったか。
「で、決まった?」
「あ?」
突然、話を振られ困惑する。
「練習してくんでしょ?誰とする?」
「なんの練習だ?」
「やっだぁ、セックスよ!決まってんでしょ!!」
「言わせたいのね?エッチ~」
「セッ!?いや、いい。それはいらん。」
「あら、恋人を喜ばせたいんでしょ?実践が一番よ?」
「そうそう、アタシが教えてア・ゲ・ル!」
「やぁだ、ソフィアったら、あんたのじゃガバガバで慣らす練習にもなんないじゃな~い!」
「まぁ!シャルロットこそ、ゆっるゆるでしょ!!」
「いや、ホントに、しねぇから。できたらやり方だけ教えて貰えっとありがてぇんだが。」
「きゃ~ピュアよ!」
「彼に操を捧げてるのね!ステキ!」
「純愛だわ~」
ダメだ、マジで帰ろう。
昼寝してる方がマシだった。
立ち上がろうとしたとき、さっきのババァが入ってきた。
「ほらほらアンタ達!いつまでお喋りしてるんだい!
オニーサンも、いつまでも侍らしてないで、決まったら部屋に案内するよ!」
はべ・・・
「マロンばぁ、違うのよ!アラン連れて来て!」
ババァがジロジロとおれを矯めつ眇めつ見る。
「あら、まぁ。てっきりタチだと思ったのに。ネコだったのかい、そりゃ、悪いことしたね。ちょっと待ってておくれ。」
「あとね!!部屋はいいみたいよ!バー開けたげて!」
相変わらず、ワケはわからないが、状況は変わったようだ。
二人の男が来て、一人はカウンターの準備を始めた。
もう一人がさっきのオカマ達に囲まれているのを眺めていると、ジョッキが目の前に置かれた。
「お待ちどうさん」
ありがてぇ。
「兄ちゃん、待たせたな。アランだ。」
囲まれていた男に、名乗りながら差し出された右手を握る。
さて、どうしたもんか。
「あー、その、」
「心配すんな、兄ちゃん!話は聞いた。おれが手取り足取り教えてやろうじゃねぇか!」
「あんたはナニモンなんだ?」
「男の喜ばせ方を知ってる男さ。」
アランという男は懇切丁寧に教えてくれた。身振り、手振りを交え、紙に書き、図解までしてくれる。かなりこっ恥ずかしい状況だが、旅の恥はかき捨てだ。
「だからな、慣れてくりゃ、指に適当な香油とかつけて奥を濡らせるようになるけど、
入口で拭い取られちまうから奥までってのはなかなか難しいわけよ。そこで、これだ。」
ホットドッグにかけるときのマスタードのような容器と、針のない注射器のようなものが出てきた。
「こういうので、ブチューっとな、中に流し込んでやるわけ。
ま、兄ちゃんは指細めだし長いから、すぐ指だけでできるようになるぜ。」
「指は爪切っとけよ。女以上に狭いとこ解すんだから。」
「え!?前立腺知らないのか?あんたのマッサージしてやろうか?」
「どこにあるんだ?」
「ケツん中。ちょっとズボン脱いでみろって。遠慮しねぇで。」
「はぁっ!?」
「ははは!凶悪な顔すんなよ!どんなもんか知った方が早いだろうに。
あのな、指入れっだろ?んで、腹側にちょっと指曲げると、ざらっとしたとこがあんだよ。」
説明を聞きながら、自分の指をクイッと曲げてみる。
「あー!それじゃ曲げすぎだって。あのさ、狭いとこでやんだぜ?
その勢いで90度も曲げたら刺さるでしょうが。」
なるほど。
「第一関節だけな、やさしーく撫でるつもりで曲げてみ?」
第一関節だけって、なかなか曲がらないんだな。
「まぁ、いいや。そんな感じ。大体な、第二関節まで突っ込んで、先を曲げればあるから。」
「あー、でも細い人なら、もうちょっと手前かな。」
「そう、尻肉も薄いだろ。へー、細い人なんだ。じゃぁ、突っ込んだ後もガンガン動くなよ?」
「男の股関節って、そうそう開くようにできてねぇのよ、出産するわけじゃねぇからさ。
それを棒つっこんでゆすり過ぎたら脱臼するだろ?」
翌日脚も上げられない状況にはもうさせないぜ。
アランが勧めるローション数本と、
最初はこれがいい、とオカマ達が勧めるローション一本を買った。
オカマのは他の3本分位の値段でちょっと迷ったが、痛い思いをさせた直後ならこれしかないと力説され、お礼の意味でそれも買った。
アランのメモもなくさないよう腹巻にしまった。
待ってろ!コック。
fin
勉強の成果を知りたい? →R18
ゾロにセクハラしてみた。
あー楽しかった(私だけが)
レディたちのお名前はすべてベルばらから。マロンばぁさんのフルネームはマロングラッセです。
ゾロの奮闘記、ヘルメモリーズでした。
おまけってこっちかい!って突っ込みが聞こえる気がする・・・気のせいか。