最後の最後に飛行機に遅れなんて残念だけど、
あ、そうそう、成田からのバス、
* * * * *
わー、並んでる。大丈夫かな、乗れるかなあ。1、2、3……あ、
「荷物が重そうだ。ステップ上るの危なっかしいなあ。ほら、
え?
「ほら、早く乗った乗った。俺が最後の乗客だよ。早く乗って、
じゃあ、すみません。これとこれ、お願いします。
「すみませんじゃなくてありがとうの方がいいなあ。はいよっと。
本当にありがとうございます。助かりました。
「いえいえ。
………………。
もう寝ちゃったみたいね、この人。
やだ、別にそんなんじゃないわよ。やめてよ、
ノロケって、もう! そんなんじゃないってば!
あ……静かにしなきゃ。
うん、そうしましょ。寝過ごさないようにしないとね。
* * * * *
「ほら、持って下りるから貸して~」
あ、すみま……、そうね、ありがとうございます。
「うん、どういたしまして。……あ」
クスクスクス すごいお腹の音。
「あー、機内で食いっぱぐれたんだ。
え? あ、そうね。ご一緒しましょう。でも、初対面で失礼かしら。
「いや、そんなことないよ。ただ、行く店、決めているんだよね。
うん、いいですよ。
「じゃあ、決まり。こっちだよ」
あ、荷物。
「気にしない、気にしない。これくらい大したことないから。
……あら? こっちって……うん、そう、
「あれ? この店、知ってるの?」
はい! 会社のお友達に連れて来てもらってから、
「それはラッキー♪ おーい、サンちゃん、飯食わせてー」
「今夜はもう閉店ですクソお客さま……って、ビビちゃ~ん♪ それに麗しいお姉様♪ ようこそ! さあさあ、どうぞ中へ。寒かったでしょ。
「え、なんで?」
「そのテーブルに乗りきらねえだろうが。
「隣にしま~す♪」
「レディたち、今メニューをお持ちしますね」
あ、サンジさん、閉店してるでしょ。
「何言ってるの、ビビちゃん! レディ二人のために腕を振るえるなんて、
「サンちゃん、俺は-」
「テメエは生肉でも食っとけ」
「えー、差別だー。でも、そうだな、せっかくだから、
「賄い?」
それ、素敵! 裏メニューとかって憧れちゃうところがあります。ね!
「本当にそんなのでいいの?」
むしろそれがいいです。
「でも、そちらのレディは初めてのご来店なのに、
ほらね、女子ってそういう特別感も大好きだものねー♪
「それなら、
「サンちゃん、サンちゃん、俺のも忘れないでねっ!!」
「本当は忘れてえところだが、
「あーよかった。本当に忘れられてるかと思ったよ」
弟さんって、サンジさんの事だったんですか?
「ああ、そう、あれが俺の弟。すっごい女尊男碑なんだ。
サンジさん、とっても紳士ですもんね。
「紳士……、まあ、紳士ではある、の、かな? ちょっと微妙な……、まあいいか。それもあるけど……ん?」
「あ、わりい。
あら。あの人、ここのウェイターさんよ。今大学生ですって。
「おー、ゾロ! 久しぶりだな。ただいまー」
「久しぶり。今回はどこへ行ってたんだ?」
「んー、ちょっと今回は秘密。いろいろあるんだ」
「そうか。まあ、聞かねえよ」
「仲良くやってる?」
「まあな」
「まだ一緒に暮らさないのか?」
「こいつはまだ学生だからな。
うわあ、素敵!
「いただきまーす! やっぱりサンちゃんの飯が一番美味いなー♪」
「当たり前だ。コラ、もう少し落ち着いて食いやがれ!」
ね、すっごく美味しくて、奇麗でしょう? 連れてきたかったのが分かるでしょ。
「ビビちゃんにお褒めいただき幸せー! こちらのお姉様のお口に合ったなら更に幸せー!!」
「お前が横にいてもこの調子なんだな、相変わらず」
「これがなくなったら、それはそれで何だか気味悪かねえか?」
「確かにな」
聞いた? 一緒に暮らす、ですって! まことしやかな噂では聞いているのよ、あの二人。
えー、何て聞くのよ。それに、
そうよ、結局どっちのシチュエーションも好きなの!
「そうだ、エース、今回はいつまでこっちにいる?」
「ん? なんで?」
「いや、
「あー……、ありがとな。俺から連絡するよ」
「レディ達、レモン水じゃなくてミント水をお持ちしましたよ~。
「んー? 仲介を頼んだだけだ。まあ、そのうち話すよ。それより、これ、
「あんまり変なことに首突っ込むなよ。マリモ、帰ってていいぞ。
「分かった。じゃあな、エース」
「まだしばらくいるから、そのうち遊ぼうぜー」
ミスター・ブシドー、帰っちゃうのね。残念。
でも、今度は営業中に来ましょうね。彼のウェイター姿とか、
……次のイベントに向けての糧にしましょうね、ふふふ♪
End.
このお話の元になったのはやぎの珍道中です。ほんっとに大変だったんですよw