早朝に、次の島についた。
港から見ただけでもわかるほど活気にあふれた町で、おりしも朝市が開かれているようだった。
店の軒先から溢れんばかりに商品が並んでいる。
それだけじゃなく、道に真ん中にもテントが連なっていて、買い食いしながら店々を覗く人で大混雑だ。
停泊作業もそこそこに、全員そわそわと町へと降りて行った。
おれも例外ではなく、サンジと同行しようとしたのだが、こんな混んだ町で迷子を捜すのは大変だと、体よく追い払われた。
それが本心じゃないのなら、ナミの「船番はあんたね」なんて言葉も、サンジの迷子扱いも軽く無視するのだが、つき物が落ちたような顔で
晴れ晴れと笑うサンジが待っていろと言うなら、それに従ってやってもいいと思った。
あれから、空が白むまでセックスをした。
境い目がわからなくなるような錯覚に陥るほど、溶けるほどくっついて、二人の体温がすっかり同じになるのは心地よかった。
なんで、突然泣いたのか・・・
聞いて驚いた。サンジがおれの形になることを厭ったというのだ、おれが。
人間の造形がそんな簡単に変わるなんて、信じられないとは思う。
そういう軽口だったんじゃないのか、そんな言葉を真に受けて、悩むなんてアホなこった。
そもそも、悩む前に本人に聞きゃ良いじゃねえか。
めんどくさい、と正直、思う。
ややこしい、わかりにくい男だと。
だが、それを超えて愛おしいと思ってしまうんだから、仕方ない。
攻略してやるさ。
おまえが笑っていられるように。
愛されてみたかったと儚げに微笑んだおまえが、愛されていると自信に満ちて破顔できるように。
ぴよぴよと金色の意識が近づいてくる。
「ゾーロー!起きてっか? 運ぶの手伝え!すっげえいい酒も手に入ったぞ~!」
船縁から波止場を覗くと、どこから借りてきたのかリヤカーに食材を山と積んで、サンジが笑っていた。
笑っていた。
fin