挿入したまま再び固さを取り戻してしまったが、サンジの意思はどうなのか。
「まだ、抜かなくてもいいか?」
「抜くっていうか……てめえ、またでっかくなってんじゃねえか、動いていいぜ?」
グネグネと動く内壁は入っているだけで気持ちがイイ。
「もうちょっと、このままでいい。」
「いいけど…変なの。」
くくっと笑ったサンジがおれの身体の上で寛ぐように伸び上がって、肩に頬をつける。
両脚はおれの腰を挟んで座ったような状態なのに、本当に柔らかい躰だな。
「ゾロ、ありがとな。なんも聞かないでくれて。でもさ……言いたいことあるんじゃねえの?」
「……無い、と言ったらウソになるな。だが、てめえが思い出して辛え想いをする位ぇなら、このまま無かったことにすりゃいいとも思ってる。」
「はっ!無かったことにはならねえだろ……。おれが失敗したんだ、バカやった過去は消えない。けど、おれは今でも……どこからが間違いだったのか分からねえんだ。」
その言葉にハッとしてサンジを見やるが、肩口に顔を押し付けるようにしていてその表情を見ることはできない。
サンジの内壁は変わらず熱く、話の内容とは無関係のように、おれのちんぽは萎えもしない。
「おれが、てめえとのセックスをぼろくそ言ったから……外で練習してきた、そういうこったろ?」
つい先ほどサンジが言った練習という言葉で、説明がついたと思っていた。
「半分アタリ、かな。別にぼろくそなんて言われてねえよ。最初は……ただおまえとちゃんと繋がりたかっただけだ。」
最初は……?
「ちょっと、待て。」
「ん?」
そうだ、あのとき。
初めてサンジとセックスまがいのことをしたときは、どうにも入れられなくて、コキあって終わったってのに。
なのに、そのすぐ後に再び誘われたときにはすんなり結合できて……「練習してきたんだ」そう言って笑ったじゃないか。
「ゾロ?」
独占欲が胸の中で渦巻く。
最初から、おれとほかの男は並行していたのだろうか。
無かったことに、そういった舌の根も乾いちゃいねえが、疑問をそのまま口に出す。
「おまえを抱いてるのはおれ一人だと思ってる時期が…結構長いことそう思ってたんだが……。」
「そうだぜ。だから、それが気持ち悪かったんだろ?いつまでも慣れなくて面倒かけてたし……なあ、今は?気持ちイ?」
喋っているだけでキュウキュウと締め付けていたそこを意識的に締め付けやがった。
「…っく……イイぜ。熱くてウネウネ絡みつきやがる。」
ハッとため息混じりに耳元でそう言うと、くっついたサンジの胸がドクンと大きく鳴り、更にキュウっと絞られた。
最初から良かったんだ、ハマっちまうんじゃないかと危ぶむほどに。
そうか、最初からだったのか。
合点がいった。
だから、他人で練習してくればおれが喜ぶと思ったんだな。
おれが不機嫌になればなるほど、おまえはそれをしてきたんだ。その練習の匂いを嗅ぎとっては、てめえを痛めつけていたのに。
相手に処女性を求めるような気持ちが自分の中にもあったのかと、他人事のように驚いている自分もいる。
腹が減れば食堂で食欲を満たすように、溜まれば娼館で性欲を満たしてきた自分が言えることではない……。
そうだ、自分でさえそうなんだ。
ハッとしてサンジの肩を掴んで引き上げる。
なら、この夢見がちな男にとって、それはどれほど辛かったろう。
それを押しても、おれとしたかったって言うのか。
まじまじと正面から顔を見る。
「おまえ、おれのこと好きすぎだろ。」
湯気が見えるほど、みるみるうちに茹ったような顔になったサンジは、ジタバタと暴れておれの手から逃れて隣に落っこちた。
「うるせえ!!わかってっくせに!」
「言われたこと無えじゃねえか。」
「だって……おまえ、知ってたから……ちくしょ!好きだよ、すげえ…好きだ。」
チラリとこっちを見たのに、正座するように小さくなって顔を隠す。
じんわりと腹の中が温かくなる。ハマっちまう甲斐もあるってもんだ。
赤く染まった項をちろっと撫でて、この照れ屋でかわいい男をどう料理しようかと顔を隠すあまりむき出しになっている尻に手をかける。
双丘を割ると、寸前までおれのいた場所がぽかりと口を開けた。
「お、すげえ。これがおれの形か。」
「あ……。気持ち悪ぃ…?」
「いや? むしろ気分良いぜ。そうか、人間の体が他人の形になるなんてあるんだな。」
その穴にチュッと口づけると、キュッと締まってしまったので、慌てて表に返して正面から突きいった。
見ると、サンジがポロポロと涙をこぼしていて。
「悪ぃ!痛かったか?」
サンジは両手をあげ、おれの首にぎゅうっと絡めてきた。
「違、う…ちがう、ゾロ……嬉し……愛してる、ゾロ、ゾロ……。」
泣きながら笑い喘ぐサンジは、くちゃくちゃの顔で、それでもなんだか無性にキレイだった。