ヒミツの二人 S2

 

「ごっそさん」

「おぅ」

「うっし、やるか。」

がっくり・・・なんだ、そりゃ

「色気ね-な-」

「んなもん、求めるなっつーか、もろ出しで横にいて、そんな余裕あるわけねーだろ。」

あ- やっぱ見えるんだ。

「おれからは見えねーもん。」

 

腰を掴まれ、引きずり寄せられる。

口元に持ったままだったグラスに残っていたワインが零れてしまった。

「あ-ぁ」と呟くと、「もったいね。」と返される。

ムカッ

「おめぇが言うな!!誰のせいだよ。」

「動くな、零れる。」

もう零れてんだよ、と言い返す間もなく、首元に垂れたワインを舐め取られる。

ゾクッと這い上がる気配を抑え込み、ゾロの顔を見下ろす。

「ここに溜まってんな。」

鎖骨を強く吸われ、ヒッと喉が鳴る。

「赤ワインだったら、もっとキレイだろうな。」

「アホ  

 野郎が何したってキレイってこたぁねぇだろーが。」

「てめぇは何もしなくたってキレイだぜ?」

「ほんっとアホだな、てめぇ。  

 嬉しくねーよ。」

口はポンポンと文句を紡げるが、顔に血が集まっているのがわかる。

幼少期の飢餓体験のせいか、おれの体は肉がつきにくい。

そもそも、胃袋自体が成人男性のサイズに達してないそうで、

こいつらみたいに食べることもできない。

それはずっとコンプレックスだったんだ。

キレイだのカワイイだのと言い寄ってくる男はいたが、全部返り討ちにしてきた。

なのに、今、舞い上がっている自分が信じらんねぇ。

こいつには、何をされても 喜んで受け入れてしまいそうだ。

思わず笑いが漏れる。

「くくっ」

「ん?」

「おれ、マゾだったのかも。」

「はぁ?

 痛くして欲しいのか?」

「やだね。」

「なんなんだ。」

「いーんだよ。

 わかんなくて。」

 

おれの胸元から顔を上げていたゾロの襟ぐりをつかんで引き寄せ、唇をペロリと舐める。

開いた唇の間から舌を差し入れ、整った歯列を辿る。

一番大事な刀を、くわえる歯だ。

舌を細くして上顎をつつく。ゾロの舌をツウッと舐め、唇を離す。

「てめぇのキスは優しいな。」

「レディ専用だったからな。」

ゾロの口元から糸をひく唾液を舐めながら、ねだる。

「おめぇの嵐みたいなキスが欲しいよ。」

噛みつくように唇を挟まれ、ベロッと舐められる。

厚い舌が咥内に入り込み、どこもかしこも舐められ、唾液を飲み込む暇もない。

どちらの唾液かもわからない雫が、おれの口の端から垂れる。

それを追うようにゾロの舌が下がって行く。

脇腹を撫で上げられ、ゾクリと粟立つと毛穴の一つ一つまで舐められた気がした。

立ち上がった乳首を執拗に弄る器用な舌を外そうと、

ゾロの首に回していた左手で遮ろうとする。

が、今度はその左手が捉えられ、指先を、指と指の間を、尖った舌先でつつかれ、 吐息が漏れる。

おれの左手を掴みながら、相変わらず乳首への刺激は続いているし、

ゾロの右手は逆の乳首をこねているので まだ上半身しか触られていないのに、爆発しそうだ。

すっかり屹立して、腹にくっついている哀れな息子に刺激が欲しくて、腰を揺らめかせるが、

ゾロは触れるのを避けるように、のし掛かっているくせに腰を上げてしまう。

 

焦れてゾロの肩を叩く。

「なぁ、  

 おい!  

 ちょ、なん、で!」

――なんで、焦らすのか、と。

 早く触ってくれ、と。

 恥ずかしい気持ちを押しのけても言いたいのに、無意識に喘ぐ喉が邪魔して、

途切れ途切れにしか喋れない。

 

でも伝わったはずとゾロの目を見ると、

動きを止めて、聞いてきた。

「なぁ、アレ、いやか?」

「ア、レ?

 ・・・

 あ、アレか!?」

「おぅ」

「アレ、なぁ・・・

 イヤっつうか、良すぎっつうか・・・」

「じゃぁ、良いな」

「いやいや、ちっと待て」

「何」

「ん・・・  声が・・・な。」

「壁厚いぜ。

 あと、クッションかじっとけよ。」

「ん~」

「何だよ」

「いや、おめぇこそ、なんでだよ。

 お前に良いことないだろが。」

「あ!?  

 あん時のお前、壮絶にエロいんだぜ?」

 

頭が沸騰しそうだ。

ホントにこいつはとんでもないことを言う。

自分がイクのは後回しにして、おれをドライでイカせたい、と。

その理由がソレって、恥ずかし過ぎっだろ。

 

「狙ってアレんなるとは限らねーぞ」

「おぅ」

「トンじまう前に、ちゃんとイカせてくれな。」

「おぅ」

良いお返事で。

尻尾があったら、振り切れそうだな。

観念したおれは目を瞑り、ゾロの首に両手を回す。

「ベッド行こーぜ。」

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