コーリング 20

柔らかい綿シャツを羽織った薄い腰に二本の太い腕が絡まる。

応えるように白い手が肩と腰に回り、その首を引き寄せた。

唇が合わさる寸前、引き寄せられた男がホッと息をつく。

 

軽く唇を合わせてから、サンジがニヤンと笑う。

「なんで、てめぇが緊張してんだよ。ばーか。」

「昨日の今日だぞ。」

「だから?緊張すべきはおれじゃねーの?」

 

コツンとサンジの肩に額を乗せたゾロが呻くような声を出す。

「何言ってるか、わかんねーよ。」

ベチッと緑の頭を叩いてから、髪に指を絡めると、慈しむような笑みが口元に広がる。

 

「怒るなよ?」

「何が?」

「昨日のな、ムリやりやっただろ。」

「てめぇ、クセんなったとか言うなよ?怒る、怒らねーってレベルじゃねーぞ。」

「なるかよ。ありゃ、よく無かった。」

「は?」

「てめぇなのによ、気持ち良くなんねーのな。」

「はぁ?てっめぇ、ケンカ売ってんのかよ!?

あんだけガンガンやっといて言うセリフか!」

抱き合っている手を振り解いて掴みかかろうとするサンジを、させるかとばかりにぎゅうぎゅうと抱き締める。

「おまえ次第なんだよな。つくづく、思った。」

 

まったく同じことを考えた、なんて ゾロは知らないのに。

 

「なに、言ってんだ…」

 

結論は丸っきり逆だったけれど。

 

「てめぇが受け入れてくんなきゃ、ダメなんだ。」

 

ギュウッと胸を掴まれたような気がした。

 

「反省、したかよ。」

「した。」

「ふん。てめぇは、おれにベタ惚れなんだろ?恋愛ってなぁ、先に惚れた方が負けなモンなんだよ。」

精一杯の虚勢を張るサンジ。

その顔をごく至近距離から覗き込むゾロ。

「諦めておれを追っかけてりゃいいんだよ、離そうとなんてすんじゃねぇよ。」

ふふん、とした表情を作って偉そうに言い始めた言葉だったが、最後にはクシャと顔が歪んだ。

その頬を両手で包み込み、鼻の頭をかぷっと咥える。

鼻梁を舐め上げ、瞼を吸う。目尻に舌を伸ばすと、サンジの喉がくふ、と鳴った。

「おまえもな。」

「ぁあ?」

「おれを看取って、他のヤツに抱かれるとか言ってんじゃねぇぞ。」

「!!」

「いいか。おれが死ぬときはてめぇも連れてくからな、覚悟しとけ。」

ゾクゾクとサンジの背筋を快感が走る。

「あっふ。…いいな、それ。たまんね。」

舌を伸ばし、顔を近づけると唇が触れる前に舌同士が絡む。

ケンカのようにやられただけやり返すような口接け。互いの咥内を舐めあう内に敏感なサンジの動きが鈍くなる。ゾロが伸ばした舌先で口蓋をつつくと、かくん、とサンジの膝が抜けた。

 

ベッドに沈みこみながら、覆い被さるゾロを見上げる。

昨日のことだ、忘れたとは言えない。

しかし、実際不思議なほど、恐怖心は湧いてこなかった。

 

 

首筋から始まったキスは腕を持ち上げ脇にまで舌を差し込まれ、高い声を上げさせた。

尖った胸の先端はこねるように弄られ、痛みを感じる寸前にぱくっと口内に包まれる。

こりこりと甘噛みされると、繋がっているかのように、下半身がぞくりと痺れた。

「はっ、くそマリ、モ…しつっけぇ」

「好きだろ?」

喋った拍子に冷たい空気が乳首を撫でる。

更に、空いた手でもう片方を弄られると、もう口は文句を紡げない。

 

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