さしさしきしと

 


好きじゃなくても、愛していなくても、セックスくらいは容易く出来る。

タダで、簡単に、手早く気持ち良くなれるなら相手がクソむかつく、腹巻剣士でも、
長い船上生活が続くなら、致し方ない。


そんな関係だった。

 

それで十分だった。

 

知りたくなんかなかった。

 

認めたくなんかなかった。

 

離れている2年の間、ナミさんやロビンちゃんを思い出すより先に、あいつを思い出していた。

 

ちゃんとメシ喰ってんのか?

 

また馬鹿な事して、怪我増やしてんじゃねぇのか?

 

怪我の手当はちゃんとできてんのか?

 

そんな事が、何度も過った。
そして、2年後の、最初の再会があいつになるとは思わなかった。

 

左瞼に、大きな傷を付けながらも、五体満足なあいつの姿を見た瞬間、イヤでも自覚した。

こんなにも・・・俺は・・・。

2年の間、あいつが何処で誰と過ごしていても、それは関係ない事の筈だった。

だから、今の状況が腹正しい。

腕を掴まれ、半ば引き摺られる様に、路地裏へと連れ込まれる。
背中を強く壁に押し付けられ、15cmの距離で、睨み合う様、みつめあう。


「っ・・・なんのつもりだ?!人をこんな所に連れ込みやがってつっ!!!!」
「2年ぶりだ。ヤらせろ」

相変わらずな、ストレートな物言い。
それは嫌いじゃないが、今はそれも腹正しい。

「ざけんなつっ!!てめぇあのレディと、2年の間よろしくやってたんだろうが?
わざわざ見送りにまで来てくれて、健気じゃねぇか。そんなレディを裏切ってんじゃねぇよつっ!!」
「・・・前から、お前の言ってる事はワケがわかんねェ事が多かったが、2年経っても、やっぱわかんねぇな」

これ見よがしな大きな溜め息と共に吐き出された言葉は、俺の怒りを十分に煽る。

「は!そりゃ悪かったな。『おれ』『お前』『ヤらない』」

掴まれたままの腕を振り解いたが、また直ぐに掴まれ、引き戻される。

「っ、なんだよ?まだ俺の言ってる事がわかんねぇか?!」
「ああ。わかんねぇな・・・」

言葉と共に、抱き寄せられる。

「やきもち焼いてんなら、ちゃんと言え」
「は?誰が・・・」

反論する為に開いた口は、重なって来た唇に塞がれる。
その温もりも、感触も久し振りの物で、それだけで、胸の何処かが疼き出す。

「オンナとは何もねぇよ。ってか、てめぇ相手じゃねぇと勃たねぇよ」

唇を離しながら、ゾロはするりと下肢を擦り付ける。
布越しからでもはっきりと判る形と硬さ。そして熱。

「今は、ガキみたいなキスで、こんなになる」

苦笑したその表情は、何処かガキっぽく、何故か安堵した。

「ばっかじゃねぇか?・・・あんな可愛い子と2年も一緒にいて・・・」

安堵したのに、口を吐く言葉は相も変わらない。

 

変えられない。

 

それでも、再度、強い力が、背中を掻き抱いて来る。

「俺には、てめぇの方が可愛い」

耳元で熱く囁く声。

「ヤりてぇな」

続いた声は、酷く掠れて、こんなにも強く求められている事に、苦笑が漏れた。

「・・・2年ぶりなんだ。こんな場所でちゃっちゃっと終わらせられんのごめんだ」
「戻ったら、隅々まで味わうぞ」
「・・・ああ。もう、逃げねぇよ」

応えながらも、今はただ、惜しむ様に抱き締めあう。
その強い力に酔いしれるのは、自分だけなのだと、感じながら・・・・・・。


end


2012.11.6UP

 


 


翼様に素敵なお話を書いてもらっちゃいました。

うちのサイト名がこれなんで、ギューってしてる感じの…とリクしたんですが、なんとタイトルまでそれを使っていただいて、こんなにステキな体先行仲良しゾロサンですよ。どうしましょう。

幸せです、ありがとう!翼さん!!この後のHはどこどこ <(゚-゚=)キョロキョロ(=゚-゚)ゞ.