禁句

 

おれより体温の低いひんやりとした咥内を貪りつくす。

 

すっかり熱の上がった肢体が脱力し、

自分に凭れかかってくるその重さが快くて、

耳を掠めた、上気した熱いため息がくすぐったくて、

毎日のように弄っている胸の飾りが、期待で立ち上がっているのを確認して、

ちょっと舞い上がっていたんだ、おれは。

 

思わず口をついて出た言葉は、淫乱、とか何かそんなもの。

 

途端、ビキッと青筋が立つ音が聞こえたかと思った。

ギロッと睨む蒼い眼に、やばいっと言い訳を考え出すが、

それより早く抱き込んでいた肢体がしゃんと立つ。

 

おれの胸に未だ手をついてはいるが、

その腕一本分、離れて立ち、深呼吸をひとつ。

 

向こうを見ていた顔が、再び自分を捉える。

 

胸の手がスッと上がって、おれのピアスをチリチリと鳴らす。

触れない程度に近寄り、ピアスを揺らしている手元に口を寄せる。

フッと息をかけられた耳から、ゾクリと背筋を走った快感で肩が跳ねるのを見向きもせず、

ピアスの根元を口に含み、なぶられる。

 

つつぅっと、肩に降りた手の指先が、ゆっくりと傷跡を辿っていく。

横目でヤツの方を見ても、おれの耳元に顔を埋めているし、

しかも長い前髪で表情は完全に隠れてしまう。

 

下がった指先がハラマキの中に潜り込んだとき、

すっかり屹立している自分自身を意識した。

 

傷跡の終点にたどり着いた手を、あっさりとハラマキから取り出し、

腕一本遠い箇所に再び離れると、ニヤッと笑って足を上げた。

 

おれの息子を靴裏でグリグリと押し、

「どっちがだ?クソ野郎。」

吐き捨てるように言って、出て行った。

 

ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ  頭の中で警告音が鳴り響く。

あいつの肢体は、それこそ隙さえあれば弄り倒している、開発しまくっている。

でも、おれは違う。

別に鈍いわけじゃないが、そんなに快感を拾わない。

いわゆる一般的な男の体だ。

今まで少なくない経験の中で、こんなことは一度として無かった。

 

あいつ限定  ということか。

ならば、あいつも  おれ限定?   ともかく早く追っかけた方が良さそうだ。

うがぁ!静まれ、息子!走れねぇじゃねぇか!!!

fin


BLの定番ですね、受の逆襲。

ゾロサンでは見ないなぁ、と思って書いてみました。

んで、納得。

普段から強いサンジくんが逆襲しても、ぜんぜんギャップがない。

単なる私の力不足?!ごめんなさい~