発情期

ひょこり、と頭にトレイを載せたサンジが見張台の床から顔を覗かせる。

キッシュは皿の真ん中に置かれたままだし、コーヒーは一滴も零れていないのだから大したものだ。

「おやつだぞー。」

「お、さんきゅ。」

ベンチに置かれた皿には大きな一切れと、薄く切られた一切れが添えられていた。

 

ドカッとトレイの横に座ったサンジが、短くなった吸いさしを取り出した携帯灰皿に押し付けると、そのまま流れるような動作で、次の一本とライターを取り出した。

 

錘を降ろしたゾロがそれをふいっと取り上げる。

「おやつなんだろ、口開かねーじゃねーか。」

ふわん、と笑ったサンジがそれを取り返し、タバコの箱に戻して、おしぼりをゾロに投げた。

ムシャムシャと食べるゾロを機嫌の良さそうな顔で眺めるサンジ。

「食わねーのか?」

「食うよ。」

仕方なさそうな顔でゾロはひょいと、小さなキッシュを持つと、サンジの口に運んでやる。

サンジはゆっくり咀嚼し、ゾロの指までぴちゃぴちゃと舐め、「へへっ」と笑った。

「甘えに来たのか?」

「ん~ つうかな、おれ発情期。」

「はあ?」

「すげーやりてーの。」

ニヤリとゾロが口角を上げ、サンジを引き寄せる。

サンジはゾロの首に手を回し、薄く開いた口をゾロのそれに押し付けた。

 

何度も角度を変え、咥内を貪り、はぁっとどちらともつかない吐息とともに唇を離すと、潤んだ眼が開く。

「今じゃねーぞ。すげーやりてーっつったろ?晩メシの支度までもう大して時間ねえの。慌ただしいのじゃ足りね。」

「なんだと!ってめ、先に言え!」

ゾロのズボンの前立てを持ち上げ始めた砲身を、サンジがするりと撫でる。

「おめーも発情期になっとけ。」

にやにやと、しつこく撫でるサンジの手を掴み「どっちだよ。」と尋ねた。

「あ、おれ、下な。」

「またか。最初んとき、あんだけごねたから一応聞いちゃいるがよぉ?」

「い、いいじゃねえか!下の方が楽なんだもんよ。」

「ほー?楽ねえ?いつもヘトヘトになってるくせに。」

「……きもちイーんだよ。くそ!」

願ったりの攻守に、聞きたい言葉も引き出したゾロは、満足気に笑うと、夜に鍛錬を残さないように、ノルマをこなすのだった。

 

fin



多分初体験のときはすごーく争って、ゾサったんですよ。

んで、一応お伺いを立て続けるゾロくん。

毎度、毎度受け希望のサンジくん、もう攻めが良いとは思ってないんだけど、抱いて とは言えない(笑)

言えないままここまで来て、やっと聞き出したって感じかな。