何かの始まり B-5

何が起きたのかわからない。

なんで、こんな怒った顔で、押し倒されているんだろう。

今、好きなのはおれだって言ったよな?

また、これだ。

ちょっと浮かれると、叩き落される。

 

服はひん剥かれ、ゾロが覆いかぶさっている。

脇腹を撫でられぞくりとするが、体をシーツに押し付けてなんとか逃す。

「あっ!」

ぱくりと胸の尖りを咥えられ、たまらず声が出てしまった。

「こんな感じやすい身体のくせに」

わかってるよ!

だから、いつもイヤだって言ってるじゃないか。

見たくねぇなら、触んじゃねぇよ!

片手を齧り、声を殺す。

片手でゾロの頭を押し返そうとするが、チロチロと舐めているその頭はびくともしねぇ。

こっちは、震えちまって力も入らねぇから、結局緑髪を掴んでるだけだ。

 

ヤバい、勃っちまう。

条件反射のように、頭の中にゾロの声が蘇る。

・・・相当だな。こっちの客も取ってたんじゃ・・・

「直接触ってもいねぇのに、ダラダラ零してんじゃねぇか。」

ギュッと握られ、萎えさせるのも失敗した。

 

頭にあてていた手から力が抜け、パタリと落ちた。

 

何がしたいんだ、ゾロ。

おれが一喜一憂してんのが、おもしれぇか。

やりてぇだけの方がマシだった。キツイぜ、ゾロ。

おれの気持ちまでおもちゃ扱いか。

 

ボロボロと涙が出てきて、止まらない。

下に落ちた手を眼の上に乗せて隠す。

口は手に齧りついてないとみっともない嬌声があがりそうなのに、鼻が詰まって苦しい。

こんなんで窒息死とか、流石にイヤだなぁ。

 

「濡らすもんねぇんだよ。さっさと出せよ。」

ゴシゴシと乱暴に扱かれ、射精したとたん、後ろにぬるりとした指が触れてきた。

最近ローション使ってくれるから楽だったのに、精液じゃ引き攣れて痛ぇんだよな。

感じなくて済むから、いいか。

 

メリメリとゾロが挿入ってくる。

やべ、こいつ、でけぇ。

久しぶりだもんな。クソイテェ。

いつもなら、前立腺に当たらないように気を付けるんだが、ずらす余地も無ぇ。

「ちっ。ゴムも置いてきちまったじゃねぇか。

 いいか。生で。

 最初も生だろ。生の方がいいのか。」

 

かはっ

 

齧り続けていた手をもぎ取られる。

「何、手噛んでんだよ。てめぇ、手大事なんじゃねぇのかよ。」

 

歯型とそこから流れる血を舐められ、ぞわりと快感が這い上がり、歯を食いしばる。

 

「おわ!

 すげぇ、今。中動いたぞ。」

 

知らねーよ。そんなん。

 

「たまんねー。エロい身体しやがって。

 なぁ。中に出していいよな。種付けさせろ。」

もう、何でも良いから、さっさと終わってくれ。

 

ぱんぱんと尻にあたる小気味いい音が、心を冷やす。

中に熱い液体を感じ、ずるっとゾロが出て行ったとき、

前立腺を擦られ、反射で屹立していたモノがしおしおとうな垂れた。

「てめぇ、なんでイかねぇんだ。」

無茶言うな。男の身体は、案外デリケートなんだ。

力も入らず、ただ乗っけているだけの腕を、顔の上から取り除かれる。

滂沱のように流れ続けた涙でぐしゃぐしゃだろう。

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