あれから何度となく体を重ねたが、サンジはイかない。
直接擦れば勃つし射精もするが、おれが入ってる間は萎えたままだ。
せめて前戯でヨくしてやりたいが、断固として拒まれる。
それでも誘い自体を拒まないのは、惚れられてる証拠のようで嬉しいんだが・・・。
島に降りるたび、酒場ではベテランっぽい娼婦から話を聞き、
でかい町で専門店があれば店主に話を聞いたり、
勧められるままに潤滑油等を買ったりもした。
そんな努力の甲斐もなく、いつまでも恋人をヨくしてやれない。
自己嫌悪になりそうだ。あれ以来あいつは笑わない。
あれから何度となく体を重ねた。
おれが本命じゃないことも、あいつが島につく度、夜の町へ消えていくことも
分かっているのに、おれはゾロを拒めない。
仲間も増えたし、船まで新しくなったってのに、おれたちの関係は変わらない。
今夜もオツトメを果たしたおれは、そのまま寝る体制のゾロを置いて、倉庫を這い出した。
男部屋に向かおうとしてキッチンの灯りを見咎め、方向転換する。
ドアを開けると、先ほど見張り台で差し入れを渡したフランキーだった。
「よぉっ、グルマユ!どうした?」
「いや、おまえこそ・・・あ、わりぃ。コーラ足りなかったか?」
「いや~ハンバーガーが美味くてよ!つい飲み過ぎちまった。
おめぇ、今日は剣士のにいちゃんとしっぽりじゃなかったんか?
大したこっちゃねぇから戻っていいぞ。悪かったな。」
「な、え、なんで、しっぽりって、え!いつ!?」
「おいおい、落ち着けよ。コーラ飲むか?」
差し出されたコーラを瓶のままグイッと煽る。
「なんで、いつから知ってる?か?」
おそるおそる頷く。
一応知られないように行動してたつもりなんだ。
「いつっつうと、あれだな。海列車。」
「は?」
「電電虫に剣士のにいちゃん出たろ?あん時よ~おめぇさん、なんとも言えねぇ
良い顔で笑ってたんだぜ。気づいてねぇんだろ。」
「そんな・・・。」
かぶりを振るが、フランキーは気にも止めない。
「アクアラグナん中の、更に敵陣の真っ只中だってのによ、
おめぇが居んのは、お花畑かって位ぇだったぜ。」
参った。
「最初っからってことかよ。」
「おぅ、そういうこったな。
剣士のにいちゃん見た時は、こいつがおめぇの恋人か~って思ったぜ。
ま、おれは偏見とか無ぇからよ、気にすんな。」
祝福するように言われるのが堪える。胸が締め付けられるように痛い。
「ありがとう。けどな、恋人ってわけじゃ無ぇんだ、これが。」
「そうなのか?」
これじゃ、愚痴だ、と思うのに止められない。
「ゾロには好きな人がいる。藻類のくせに生意気だろ?」
タバコをくわえながら、せめて平静を装ったつもりだが、失敗したらしい。
ポンポンと頭を叩かれる。
子どもをあやすような仕草がむかつくことに心地良い。
「なのに、おめぇとやってんのか。
意外だな。そういうヤツにゃ見えねーのに。
もっと、なんつーか仲間を大事にするヤツだと・・・」
うん、そうだ。仲間だけじゃねぇ、あいつは優しくて、懐の深い男なんだ。ってことは・・・
「おれは、仲間とすら思われてねーのか・・・」
さすがにそこまでは思ってなかったおれは愕然と呟いた。
「おいおい、やめとけ。
夜中ってのはマイナス思考になるもんだ。
思い込みで悩んだってロクなことにならねーぜ。悩むのは確認してからにして、もう寝とけ。」
まだ長いタバコを捻り潰す。確認?できるわけ無いだろう。